WALL・E


奥さんとデートがてら映画を観に行く。有楽町のとある映画館で上映していることまでは、ぴあを立ち読みして分かったのだが、その映画館に辿り着くまでが難儀した。おかげで奥さんはご立腹気味。やはりデートをするには下調べの段階で手を抜いてはいけないのである。デートの失敗をルックスで許してもらえるような二枚目に生まれたかった。

そんなことはさておき。いや、面白かった。PIXAR作品では、「Mr.インクレディブル」がトップだったんだけど、王座陥落です。子供から大人まで十分に楽しめる作品。前作のレミーのおいしいレストランでも主人公がネズミだったが、PIXAR内での流行なのだろうか。ファインディング・ニモでは魚だった主人公が普通にセリフを話していたのに、今やセリフを話すことのないロボットをあそこまで魅力的なキャラクターに仕立て上げている。圧倒的なCG技術を元に映画を作ったわけではなく、映画制作会社がその手段としてCGを使っている。そういうレベルにきていると思う。「CGすげーな…」なんて映画を見ている間に、一度も考えなかった。ただただ、映画として純粋に面白かった。

映画を観て、いろいろと考えさせられるシーンも多かった。肉の塊と成り下がった人間の姿や、ごみに埋め尽くされる地球の姿。ただ、あまり押し付けがましくない形で、観客にテーマを提示するこの形式は、よく考えられていると思う。あくまで娯楽作品として観るべきだと思うし、テーマについてあれこれ議論する類の映画でもない。何かの折に、ふと思い出す程度でよいと思う。

「崖の上のポニョ」がフルアニメーション、「WALL・E」がフルCG。2008年は後年において何かしらの意味を持つ年になったのではないかと思う。