チャーリー・ウィルソンズ・ウォー

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー [DVD]

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー [DVD]


NEWS23ピーター・バラカンが紹介していた映画。最近お亡くなりになった筑紫哲也さんも勧めていたのを覚えている。凄く観たかったのだが、キャストが「如何にも」な感じだったので、映画館で観ずに終わってしまった。レンタルDVDの冒頭に収められている予告編を見るたびに、早くレンタル開始されないかと心待ちにしていた。



冷戦が華やかなりし頃、共産主義国家だったアフガニスタンに親米の政府が樹立された。面白くないソ連軍がアフガニスタンに進行。市民に対して非道の限りを尽くし、国民の半分が14歳以下(つまり大人が次々と虐殺された)というシャレにならない事態に。アメリカはこれに呼応したいけど、表だってはアフガニスタンを支援できない。アメリカの武器がソ連軍のヘリコプターを撃墜するのは、冷戦が本当の戦争になってしまう。

ではどうする?

アメリカは近隣国にソビエト製の武器を生産させる。その武器はアフガニスタンに運び込まれ、その武器を使う戦士(ムジャヒディーン)はアメリカの特殊部隊に訓練される。その資金はアメリカが完全にバックアップ。当初500万ドルだったアフガニスタン向けの予算は最終的には10億ドルに膨れあがり、その甲斐あってかソ連軍はアフガニスタンから撤退する。

さて、ソ連軍が撤退したあとに残ったものは?荒れた土地と潤沢な武器を持った戦士たち。つまり、アメリカが「テロリストの巣窟」と呼んでいる彼の国は、アメリカがその種を蒔いた国というわけである。

物語の舞台となっている1980年代においては、アフガニスタンを救うことが正義だったのだろう。結局、これが後にアメリカを苦しめることになるのだが、チャーリー・ウィルソンが馬鹿で女好きなロクでもない議員だったから、無尽蔵に武器を提供したから今の事態を招いたというわけでもない。ソ連軍の撤退後、学校設立のための予算を取り付けることが出来なかったから、今の事態を招いたわけではないだろう。誰がやっても同じような結末を迎えていたのではないか。アフガニスタンではないにせよ、中東問題で頭を悩ませていることは間違いないだろう。イスラエル、イラン、イラクなど、アメリカは中東地域の問題に対してあまりにも深くコミットしすぎている。
映画のラストで「最後にしくじってしまった」という台詞が出てくる。失敗したことは誰にでもわかるが、では正解は何だったのか?アフガニスタンを救うことは「正義」であったかもしれないが、「正解」ではなかったのだろう。誰もこの問いに対する正解を持ち合わせてはいないのだ。それゆえに観た後に、何ともいえない「空しさ」だけが残る。



主人公となったチャールズ・ウィルソンという不良下院議員。「チャーリーズ・エンジェル」って映画の元ネタになった人で、それもあってか、作中に登場する議員秘書は美人さんばっかりだった。ホントかよ、と思うけど、自伝でそう言ってるんだから信用するほかない。他にも表には出てこれないような人が沢山いたんだと思うけど、事実は事実らしい。この役をトム・ハンクスが好演している。フィリップ・シーモア・ホフマンがCIA局員役で出演している。本当にいい役者さんだと思う。「カポーティー」とは正反対の役を難なくこなす。