春の日は過ぎゆく

春の日は過ぎゆく [DVD]

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奥さんがレンタル。主演のユ・ジテの大ファンらしい。そのほかにも、イ・ヨンエが出演しているし、監督はホ・ジノ。キャスティングとしては豪華な顔ぶれだと思う。
評価の分かれる映画ではなかろうか。男女の出会いから別れまでを淡々と描いているが、恐らく意図的に物語の起伏を取り除いているので、どうしても「気儘に立ち振る舞う大人の女性と、その女性を純粋に好きになった男性」という構図に目が奪われてしまう。結果として「あの女は酷い」とか「男が可哀想だ」というような評価に終始してしまいがちになる。ハッピーエンドで物語を終えれば、その叙情的な表現にも目が留まりやすくなると思うのだが、こればっかりは監督の好み*1だから仕方がない。
細かい表現を丹念に積み重ねて作品の雰囲気を作る、よけいな台詞はギリギリまで削る、という作風は好きなのだが、いかんせん扱うテーマが「甘い」。ガス・ヴァン・サントみたいな少し重いテーマを扱ってほしい。
ちなみに、ホ・ジノの次回作「四月の雪」は吉祥寺の映画館で観た。ヨン様主演の映画を初めて観て、なぜ彼に人気が出た理由を考え込んでしまった覚えがある。つまり、「実に下らない映画だった」ということだ。その時点で、ホ・ジノの評価は耳にしていたので、「どれ、観てやるか」という、失礼なまでの「上から目線」で映画館の席に座ったのだが、映画が終わっても「上から目線」のままだった。

*1:東京国際映画祭でのティーチインにて、こんな話をしていた。