ONCE ダブリンの街角で


傑作。小品ながらも、出色の出来。
まず、音楽・歌声が良かった。ストーリーも良いが、それ以上に主人公の歌声には説得力があった。本職の歌手とは知らず、ずっと「サントラ欲しい」と思いながら観ていた。
それと街の雰囲気もストーリーとシンクロする。主人公ふたりの置かれた境遇を、仄暗い街の景色がものの見事に言い表していた。
思い返してみれば、大したストーリーではない。一つ間違えれば、駄作にも成り得る。でも、見ている間、そんなことを微塵も考えなかった。あっと言う間に作品の中に引きずり込まれた。脚本だけで映画の良し悪しが決まるわけではない。そのことを痛烈に感じた。