自虐の詩


映画の予告編集(レンタルDVDの最初に流れるやつ)で阿部寛ちゃぶ台返しが印象に残っていたため、「コメディか?」と思って借りたら、意外に泣けた。主演は「嫌われ松子の一生」に続き、幸薄い女を演じる中谷美紀。幸薄い顔の女性ではないと思うのだが、この手の役が何故かハマルのは何故だろう。演技力の高さなのか。
前半は予想通り。阿部寛のコミカルな演技が光る。2.8枚目役者の地位を完全にモノにした貫禄の演技。でも、後半に差し掛かると物語が意外な展開を始める。主人公の半生が語られるのだけれど、思い返してみれば、大した事はない。貧乏だけど親友を得て、故郷を離れて、都会で荒んだ生活を送り、取り返しのつかなくなる寸前で男に助けられ、その男に尽くして生きてきた半生。言葉にするとうすっぺらいが、何故か引き込まれる。監督の腕か、それとも原作のクオリティの高さか。
アパートの大家の役で、カルーセル麻紀が出演していた。親父がタクシー運転手をしていた頃に、一度乗せたことがあるらしく、「そのキレイさにビックリした」と何度も聞かされたが、今ではおばちゃん役が似合う妙齢になってしまった。キチンとおばちゃんになるところが凄いとは思うが。