ラスベガスをぶっ飛ばせ

ローレンス・フィッシュバーンケヴィン・スペイシーが出演している。どちらも好みの役者さんなので観てみることにする。脚本の題材となった事件も、小耳に挟んだことがあるし、先入観バリバリの状態での鑑賞。こういう状態になると、面白い映画も面白くなくなってしまう。


先入観がなかったとしても、あまり面白くなかっただろうと思う。まず、邦題が悪い。原作となった本の題名が「ラスベガスをぶっつぶせ!」だから仕方がないのかも知れないが、原題は「21」である。こちらの方が映画の内容を良く表していると思う。話の背骨になるのは、ラスベガスでのギャンブル(ブラックジャック)ではない。何処にでもいる「21」歳の大学生が抱える問題を、自信の才能と機転で解決していく姿が、この映画の背骨であり、その側面から観ればコレは「青春映画」なのだから。ヒネリを効かせた脚本も、そのヒネリ方はどこかで見かけたようなモノだった。あまり新鮮味の無い脚本だった。

カウンティングの技術にフォーカスを当てていないのは正解だとは思う。ただ、何も知らない日本人が映画を観ても、何のことやらワカラナイだろう。日頃からカードゲームに親しみのあるアメリカ人が観れば、主人公が(我が身の問題を解決するために)難なく駆使する技術が「凄い」モノであることは理解できるのだろう。が、観客が何も知らない日本人になると、途端に主人公は「実はギャンブルが好きだった、少し頭の良い大学生」になってしまう。日本公開を念頭に置いて脚本を作ることはあり得ないが、そのまま日本に持ってくるのであれば、プロモーションの仕方を考えた方が良かっただろう。少なくとも、ギャンブルを前面に押し出した方法は避けるべきだったのでは無かろうか。

ケヴィン・スペイシーが「ワル大学教授」役で出演。少しクセのある役を演じるのはお手の物なのだろうか。これだけは安心してみることが出来た。ローレンス・フィッシュバーンはカジノのバウンサー役。こちらは、可もなく不可もなく、という感じ。