みんなのいえ

みんなのいえ スタンダード・エディション [DVD]

みんなのいえ スタンダード・エディション [DVD]


三谷作品を全制覇したいのである。が、近くのレンタルビデオ店では、「龍馬の妻とその夫と愛人」がビデオテープしか用意されていない。ビデオテープというのはどうかと思う。

とりあえずカットが長い。役者は大変だっただろう。舞台出身の監督が故の演出とはいえ、長回しがここまで多いと少し食傷気味ではある。大体、長回しを多用したところで、喜んでくれるのは評論家の連中だけなのだ。一般の客は、カットの長さなんて気にしない。少し固執しすぎた感は否めない。特典映像で「長回しへのこだわり」という短い映像を作っているぐらいだから。

主演の二人が、作品の中でどことなく浮いている。何か意図があるのだろう。主演の二人だけが、素人というキャスティング。三谷幸喜の実体験を元に脚本を書いたらしい。家づくりという作業の中で感じた、ある種の疎外感をキャスティングにも反映させたのだろう。この試みは失敗ではなかろうか。途中から、ココリコ田中の演技が鼻について仕方がなかった。ま、確かに敵は強すぎた。なんと言っても唐沢寿明田中邦衛だ。

自分のことを、これほどまでに自虐的に描くかとも思う。劇中に描かれるトラブルのすべては、主人公の優柔不断が原因で発生している。これが観た人すべてに理解できるように描かれている。若きデザイナーに肩入れしたり、職人気質の大工に共感を得たりするのも、土台には主人公の優柔不断さに対する軽蔑があっての話だ。そして、その軽蔑の対象は脚本家本人である。