ノーカントリー

ノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

ノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]


まあ薄気味悪い映画。最初から最後まで「不穏」な空気が溢れかえっている。そう、怖くはないけど不穏。間違いなく殺し屋の存在がその雰囲気を醸し出しているが、音楽が一切使われていないことも、一役買っている。コーエン兄弟の作品なので、多くを語らないその語り口も。
些細な出来事をきっかけにして、どうしようもなく大きな問題に巻き込まれていく。コーエン兄弟の作品でよく扱われるテーマ。この作品もその流れを汲んでいる。ただ、見終わって少し時間をおいて、もう一度作品のことを考えてみると、いくつかの隠されたテーマが浮かんでくる。

まず一つめ。老いた保安官と(少し)若い殺し屋に表される、世代間の対立。
邦題は「ノーカントリー」、原題は「No Country For Old Men」。もう少しマシな邦題を付けられなかったのか。これでは、何のことかさっぱりわからない。映画の配給会社さんには頑張ってもらいたいものだ。

もう一つ。国際社会の中におけるアメリカが殺し屋に投影されているということ。
その作品が、アカデミー賞に代表されるアメリカの映画祭では絶賛され、それとは対照的にヨーロッパ各国での映画祭では驚くぐらいに評価されなかったのは、何か象徴的なことのようにも思える。