JSA

JSA [DVD]

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僕の相方さんは韓国で映画絡みの仕事をしていたという、少しばかり異色の経歴を持っている。それ故に韓国の映画事情にやたらと詳しかったり、韓国映画を字幕なしで鑑賞できたりする。この映画は相方さんが韓国に在住している時に公開され、爆発的な大ヒット。若者の娯楽だった映画館に年配の人が訪れ、若者と一緒に映画のワンシーン毎に一緒に泣き、一緒に笑ったそうだ。時を同じくして韓国と北朝鮮のトップ会談が実現したり、離散家族の面会が開始されたりしたことにより、韓国の人たちの北朝鮮に対する考え方が音を立てながら変わっていく様子を目の当たりにした。相方さん曰く、「映画が時代を変えたみたいだった」。


監督は、パク・チャヌク。この後、「復讐者に憐れみを」「オールドボーイ」「親切なクムジャさん」を撮る人。キッチリと大衆向けの映画が撮れるではないか。主演はソン・ガンホ。圧巻の一言。敵国に兄弟を得ても、祖国を捨てきれない(捨てない)戦士を見事に演じきっていた。若き日のイ・ビョンホンとかイ・ヨンエも出演。こっちは若さゆえにその現実に悩む若者2人。。今では考えられないぐらいのオールスターキャストだけど、みんなこの映画が出世作になったらしい。特にイ・ビョンホンが良い。見事な役者さんではないか。ハンサムだけで売れているわけではないのだな。
事件の核心部分の描写では、フレーム内の全ての人間が好演をする。あの緊張感と言葉にならない哀しみに満ちた映像はスバラシイ。


イ・ヨンエが事件の核心に迫ろうとしているとき、その上司が
「両国はこの事件が曖昧になることを望んでいる」
と言う。韓国の人たちはこの言葉をどう受け取ったんだろう。